ピニオンの歯先丸めと歯先修整

ホイール歯元面の掘り込み
右の図に示されているように、高い負荷がかかるギア(モータ歯車)においては、プロファイルは幾何学的に正しく、理論的には問題のないギアペアにもかかわらず、例えばホイール歯元面の「掘り込み」や「金属くずの発生」といった、嚙み合わせ障害が発生する可能性があります。この現象は、特にピニオンの上端がスクレーパとして機能する、硬化処理されたピニオンとのペアリングにおいて発生します。
これには、次の原因が考えられます。
1) 屈曲
高い力の影響、加速、制動および振動の下での動的負荷ピークは、嚙み合わされた歯の弾性変形を引き起こします。
2) ピッチ誤差
各歯において回避できない製造誤差、この場合特にピッチ誤差は、屈曲と組み合わせてによってマイナスの効果を引き起こします。
3) 旋回駆動装置
駆動装置のほとんどは片持ちの配置となっており、ピニオンシャフトの屈曲は避けられません。同時に、入力側の大きな力によって、旋回駆動装置と接続構造の間の接続部において弾性変形が引き起こされます。これらの変形も係合障害を促進します。
4) 潤滑
上記の3つの要因によって、ピニオン上端に高いピーク負荷がかかり、その結果、潤滑膜が失われる可能性があります。それによって発生する金属の直接の接触により金属くずの発生がさらに促進されます。
過去に発生が確認されたことのある損傷は、ピニオンの歯先修整および丸めを施すことで予防することができます。
5) 歯先修整
技術文献には、高速回転するギアにおける振動(ノイズ)の影響を低減するための歯先修整はよく知られています。
よく知られた研究の結果、当社は、ギアへの負荷に関して特に極端な条件にさらされる用途に関しては、ピニオンの歯先修整、歯先丸め、0.1~0.15・mを規定することに決定しました。

エッジの無い歯先面プロファイル
半径 ρanは、エッジ無しで歯先面につながっている必要があります。
変更された歯先面プロファイルが、通常の歯面プロファイルへスムーズに(エッジ無しで)つながっている必要があります。
歯先面プロファイルは伸開線状の形状となります。